第53章 詫言 ✴︎
「俺の為に…怒ってくれるのか?」
『当たり前じゃん!』
「そうか……ははっ」
『!!な、何で笑うの…?』
「美緒に想われてるのが嬉しくてな。」
顔を後ろに向けると
赤井さんは優しい顔で笑っていて…いつもの赤井さんに戻ったようで安心した。
『私じゃ頼りないのは分かってるんだけど…
赤井さんが悩んでたら力になりたいの…。
いつも私ばっかり赤井さんに助けてもらってるから
何かあった時は…その…相談してね…?』
私に出来ることなんて限られているかもしれないけど
赤井さんが困ってたら助けてあげたいし
辛い思いをしていたら寄り添って不安を拭ってあげたい…
力不足なのは分かってる。
それでも私は赤井さんの為なら
何でもしてあげたいと思うほど赤井さんのことが大好きなんだ。
「美緒…前にも言ったと思うが
俺はお前が側にいてくれるだけで力を貰ってる…
頼りないなどと思った事は一度もない。」
『え…本当…?』
「ああ…だからこれからもずっと俺の側にいろ。」
…相変わらずの命令形。
でも私は赤井さんの側にずっといたいって思ってるから
命令形の言い方でも全然嫌じゃないんだよね。
『離れろって言われても一緒にいる!』
「馬鹿、そんなこと言うわけがないだろう。」
『ふふっ、赤井さん大好き!」
体ごと後ろを向き、赤井さんの首に手を回して抱き付くと
優しく抱き締め返してくれた。
「俺も…美緒が好きだ。」
私と同じように気持ちを伝えてくれて…
体を少し離すと、私達はどちらからともなくキスをした。
湯船に浸かり温まったところで浴室を出ると
赤井さんは私の髪をドライヤーで乾かしてくれて
リビングで寛いだ後、あまり遅くならないうちに寝室に向かい、2人でくっつきながらベットに横になった。
「安室くんのことだが…明日美緒を貸す代わりに
今後お前には組織の事を何も聞かないと約束させたからな。」
『!!』
さっきの電話でそんな事話してたんだ…!