第53章 詫言 ✴︎
「っ、くッ…、美緒……っ…」
とても切ない声で名前は呼んでくれるけど
寝室に来てキスをしていた時からずっと…
一度も私と目が合っていない。
安室さんに余程嫌なことを言われたのかもしれない…
だからといって、今みたいに抱かれるのは嫌じゃないけど
なんか違う気がして…
私は与えられる快感に耐えながら、赤井さんに声をかけ続けた。
『あ、かいさ…、んッ…!お願いっ…待っ、て!』
「はぁっ…止めないでくれ、美緒。」
『っ、や…ぁっ…!!』
赤井さんは腰を打ち続ける動作をやめず
ひたすら私を求めていた。
…でもやはり目線だけはずっと合わなくて
寂しい気持ちを堪えきれず、視界が涙で歪むのを感じ
先程よりも大きな声を発した。
『っ、赤井さん!!!!』
「!!」
急に大きな声を出した私を見て
赤井さんは少し驚いているようで…
動きを止めた赤井さんと漸く視線が交わった。
私は涙を溢しながら、赤井さんの頬に手を伸ばした。
『お願いっ…私を見て…?』
「っ、!!」
『嫌な事が…あった時は
私を利用して…忘れようとしてくれていいから…
でも…私の目を見て欲しい…っ…!
逸らし続けられるのは…やだよ…』
涙をポロポロと流しながら私の気持ちを言葉にして伝えると、赤井さんはハッとして
挿れた状態のまま、私の体を抱き締めた。
「美緒…すまなかった…怖がらせたよな?」
『っ、ううん!怖くないよ…!
ただ…寂しかった、だけで…』
私の言葉を聞いた赤井さんは少し体を起こし
至近距離で私の目を見つめ、涙の跡を拭ってくれた。
「こんなに泣かせているのに気付かないとは…
俺は最低だな…」
『!!そんなことない!寂しいのは本当だけど…
その…気持ちいいのも本当…だから…』
「…。」
嘘偽りのない言葉を伝えると
ナカに入ったままの赤井さんのモノがピクッと反応していた。