• テキストサイズ

《赤井夢》Happiness{R18}

第9章 恐怖




『いやぁっ!!やめて!!』

「っ、おい美緒!俺だ!」

『!?え……あ、あかい…さん?』






赤井さんは私が振り回した鞄を片手で受け止めていて
驚いた表情で私を見下ろしていた。





「一体どうしたんだ…?
偶然お前を見つけたから声をかけたんだが…」




ストーカーではなく赤井さんだったことに安心して
徐々に力が抜けてきた私は、道路にペタンと座り込んだ。





「美緒…?」

『っ、ごめんなさい…
ちょっとびっくりして力抜けちゃって…何でもないです。』





言葉では何でもないと伝えても
体は正直でガタガタと震えてしまっている。



そんな私の誤魔化しなんて赤井さんには通用するはずがなくて…
赤井さんは座り込んだままの私に合わせてしゃがみ込み視線を合わせてきた。




「何かあったんだろう?」
『いえっ…本当に…なにも…』
「そんな震えているくせに何を言ってる。」





…やっぱり震えていたのはバレていた。






何も言えずに俯いていると
赤井さんは私を支えて立ち上がらせた。




「家まで送る。話はそこで聞くからな。」

『えっ、いやあの…!1人で帰れますから!』

「俺が心配なんだ。そんなお前を見て放っておけない。」

『っ…』





この前まで私を疑っていたくせに
どうして今はこんなに優しくしてくれるんだろう…



関われば関わるほど赤井さんの事が分からなくなる…



この人は一体何を考えているの…?






結局、アパートに着くまで赤井さんは私の両腕を掴んで支えながら歩いてくれて…




腕から伝わってくる赤井さんの体温は、とても暖かくて心地の良いものだった。







/ 617ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp