第9章 恐怖
ストーカーをされていることに気付いた日から1週間ほど経った。
相変わらず夜道を歩く時は、後ろから尾けられているような足音が聞こえてくるし、
2日に一度ほど私の写真が入った封筒がポストに入れられている。
最近は写真だけじゃなくて
「今日も可愛いね」や「愛してる」などの文字が綴られている手紙も封筒の中に入っていて、日に日にストーカーの行為がエスカレートしているような気がする。
こんなこと相談できる人もいないし
職場の先生達に相談しても心配をかけるだけだ。
……つまり自分でなんとかするしか無い。
1人で恐怖に耐えながら毎日を過ごし
現在、職員室で仕事をしていると、隣の席の小林先生が私に声をかけてきた。
「若山先生、最近少し顔色が悪いようてすが…
何かあったんですか?」
『…いえ!なんでもないですよ?
実は最近あるドラマにハマってしまいまして…
つい夜更かしして見ちゃってるんですよねー!』
「そうなんですか?それならいいんですけど…
顔色悪いと生徒達に心配されちゃいますから
気をつけた方がいいですよ!」
『あはは、確かにそれはダメですね。気をつけます!』
なんとかその場しのぎの嘘で小林先生を誤魔化すことに成功…
寝不足で辛い体に鞭を打ち、その日は無事に一日の仕事を終えた。
そして問題の帰り道…
いつものように夜道を歩いていると聞こえてくる足音。
やっぱり今日も尾けられていて
走りながら道路の角を何度も曲がってアパートの近くに着くと
すでに足音は聞こえなくなっていた。
ホッと安心してアパートのある方へ体を向けると
誰かに後ろから肩を掴まれ、
私は肩に掛けていた鞄を振り回した。