第49章 酩酊 ✴︎
「…ジョディ、店の名前教えろ。すぐに行く。」
店の名前と大体の場所も聞いて、電話を切り工藤邸を出た。
…全くあの馬鹿女。
ジョディが一緒だからいいものを
あんなになるまで酒を飲むとは……
だが1日早く美緒に会えるのは素直に嬉しい。
少しでも早く店に着くように
車のスピードを上げて店に向かうと、割と早く到着した。
店のドアを開けて中に入り2人の姿を探すと
少し奥の方から賑やかな美緒の声が聞こえてきて
そこに向かって足を進めた。
「あら、意外に早かったわね!」
「ああ……まぁな。」
美緒の方へと視線を移すと
蒸気した赤い頬に少し潤んだ瞳をした、完全に出来上がっている状態の美緒と目が合った。
『あーっ!昴さんだぁ〜!!うふふ、会いたかった〜!
…ちゅっ』
「っ…!」
酔っ払っている美緒は
いきなり俺の首に手を回し抱きついて来て、頬にキスをした。
『えへへ〜♡ちゅーしちゃった〜!』
「この酔っ払いが……帰るぞ。」
『えー!いやいや〜!もっと飲むの〜!!』
こいつ……人の気も知らないで…。
「はぁ…いいから帰るぞ?……ジョディ、悪かったな。」
「私こそごめんね?
美緒がこんなにお酒に弱いと思わなくて…
じゃあ後はよろしく!ここのお金は私が払っとくから。」
「すまんな。」
まだ帰りたくないと
駄々を捏ねて暴れてる美緒を抱き抱えて
駐車場に停めてある車の助手席に乗せた。
『昴さんの意地悪ぅ……まだ…飲みたかったのにぃ…』
車を発進させると
すぐにウトウトしてきている美緒。
酔っ払いの相手をするのは面倒だと思っていたが
その相手が美緒だと全く嫌ではなかった。
「飲むのはまた今度な?大人しく寝てろ。」
『んー……』
「…。」
酔っ払っているのは分かっているが、助手席の窓にもたれかかり
目を閉じてウトウトしている姿さえ俺の目には可愛く見える…
こんなにも美緒に溺れている俺は
今日の夜…こいつに手を出さず我慢できるだろうか…