第49章 酩酊 ✴︎
side 赤井
今日は金曜日。
明日は美緒と会う予定の日だが…
毎週泊まりに来て同じベットで眠る美緒に
手を出さずにいるのはそろそろ限界だった。
学校荒らしの男2人に犯されそうになったあいつは
俺が少し触れただけでも体が震えていたから
この1ヶ月間、一度も美緒を抱いていない。
美緒は俺の事を怖くない、と言ってくれているが
それはあいつの優しさだと思う。
……美緒は本当に怖くても
怖くないと強がりを言うような奴だしな。
だが好きな女と密着して眠っているのに
手を出さないよう自分を抑えるのはいつも必死だった。
我ながらよく1ヶ月間も我慢できたな…
これまでにも何度か抱きたい、と伝えようとしたが
もし美緒に嫌われたら…と思うと言えずにいた。
あの日以来、美緒に嫌われる事を怯えている自分を情けなく思うが、あいつの為にここまで我慢できる自分を誰かに褒めて欲しいものだ。
工藤邸の書斎で悶々と考えていると
机の上に置いてあるスマホが振動し、画面を見るとジョディからの電話だった。
「俺だ、どうした?」
「あー…シュウ?今忙しい?」
「いや、特には…
お前今日は美緒と飯ではなかったか?」
「実はね、
美緒がお酒飲み過ぎて酔っ払っちゃって…
私1人じゃ手に負えないから迎えに来てくれない?」
…美緒が酔っ払った?
あいつは酒が弱いから外ではあまり飲まないはずだろう…
不思議に思っていると
電話口からジョディとは違う別の声が聞こえてきた。
『ジョディさ〜ん!誰と電話してるんですかぁ?』
「迎えを呼んでるだけよ?
それより美緒、迎えが来るまでもう飲むのはやめて
大人しくお水飲んでおきなさい?」
『はぁーい!わっかりました〜!!』
「!?ちょっと!それ私のワインじゃない!!」
『えへへ〜、ワインも美味し〜いっ!!』
「…。」
普段は聞くことのないテンションが高い美緒の声…
明らかに酔っ払ってるのが分かり、ため息が出た。