第48章 脆弱
「ジョディは俺にとって今は大事な同僚で仲間の1人だ。
決して恋愛感情は抱いていない。」
『……じゃあ…どうして…』
「…2人でホテルに入ったことか?」
『!?な、なんでそれを…』
「安室くんから聞いている。
俺とジョディがホテルに入るところ…見たんだろう?」
赤井さんの問いに首を縦に振って頷くと
2人で寄り添い合いながらホテルに入っていく姿が
私の頭の中にまた浮かんできて、気持ちが沈んでいく…。
「美緒……悪かった…」
『っ、え…?』
「何もなかったとは言え、他の女とホテルに入るところなど見せられて…辛い思いをさせたよな?すまなかった…」
『何も…なかったって……どういうことですか?』
赤井さんに説明を求めたところ、
あの日ジョディさんは体調が悪く高熱でフラフラだったから
休むためにあのラブホテルに入ったとのことだった。
「ジョディは昔から疲労が溜まると熱を出すんだ。
だが数時間寝ればすぐに良くなる。
あの時は雨も降りそうだったから…
ホテルで休ませるのが1番いいと思ったんだ。」
赤井さんの話は安室さんに聞いていた2%の理由で…
2人が関係を持っていなかったと聞けて
私の心の中の黒い感情が少しずつ晴れていった。
「アーロン捜査官が突っかかったことも聞いた。
ホテルから戻ってきた時のお前の様子が変だったから
何かあったんだろうとは思ったが……
ちゃんと話を聞いてやれなくて悪かった…」
『いえ、そんな…私も酷いこと言って…
すみませんでした…』
「お前は悪くない、全部俺が悪いんだ。」
そんなことないのに…
私が自分に自信がないせいで
アーロンさんの言葉で勝手に傷付いてただけなんだから…
『あの……どうして赤井さんとジョディさんは
付き合ってたことを私に話してくれなかったんですか…?』
「話したらお前を不安にさせると思ったんだ…
ジョディもそう考えてたみたいでな、
あいつもお前を傷つけたくなかったから
ずっと言えずにいた事を後悔していた。」
…やっぱり赤井さんもジョディさんも優しい人だ。
黙ってた理由が私を傷つけないためだなんて聞かされて
嬉しく思わないはずがないよ…