第48章 脆弱
翌朝ー…
目が覚めて瞼を開けると赤井さんはすでに起きていて
それでも眠っている私をずっと抱き締めていてくれたままだった。
「起きたのか?」
『ん…はい…おはようございます。』
私の顔を覗き込む赤井さんの顔が目の前にあって…
一緒に朝を迎えて
起きてからすぐにこの人の整いすぎている顔を見ると
私の眠気は秒で覚める。
「朝飯作ってくる。」
『じゃあ私もお手伝いを…』
「お前はゆっくり着替えてから来い。」
『…なんか赤井さん、昨日から私を甘やかしすぎてません?』
「嫌か…?」
…甘やかしてる自覚あったんですね。
『嫌ではないんですけど…どうしてかなって…』
「…。まだ話をしていないのに
こんな事を言うのはどうかと思うが……
お前に嫌われたくなくて、俺なりに必死なだけだ。」
『!!』
そんな…甘やかしたりしなくても
私が赤井さんのことを好きな気持ちは変わらないのに…
でもそう思ってくれるのはどうしようもなく嬉しくて
朝から心臓を鷲掴みされたような感覚に陥った。
「とにかく、お前はのんびりしてろ。
コーヒーも淹れておくからな。」
『あ…はい…』
私の返事を聞くと赤井さんは寝室を出て行った。
私はお言葉に甘えて着替えをして、洗面所で身なりを整えてから赤井さんのいるキッチンに向かった。
そして2人で朝食を済ませ、食器の片付けを終えてから
リビングのソファーに移動し、ちゃんと話し合うことになった。
「美緒…聞きたいことがあれば
話の途中で聞いてくれて構わない。」
『はい…分かりました…』
私の返事を聞いた赤井さんは
一度小さく息を吐いてから話し出した。
「お前もすでに知ってると思うが…
俺はジョディと5年前まで恋人同士だった。
例の組織に潜入することが決まった時に別れたんだ。」
『それは…宮野明美さんに近づくため…ですよね?』
「ああ。明美を利用するつもりで近づいたんだが
俺はいつの間にか…あいつに好意を寄せていた。
だが明美が死んだからといって、ジョディとよりを戻そうと考えたことは一度もなかった。」
確か赤井さんは…
二度と恋人を…大事な人を作らないって決めていたはずだったからだよね…?