第8章 強制
「若山先生、何か悩んでいるんですか?」
『いえ、別に悩みって訳じゃ…』
「僕で良かったら話聞きますよ?
あ、そうだ!今日2人で飲みに行きませんか!?」
『えーっと…』
…実はこの男性教員は私のことを気に入ってくれているらしく
こうやって飲みに誘われるのは初めてのことじゃない。
毎回適当な理由をつけて断っていたけど
最近は彼が体育の授業中に怪我をしてしばらく休んでいたから
誘われることもなく平和に過ごしていたのに…
『飲みに行くのは…ちょっと…』
「僕の復帰祝いだと思って付き合って下さいよ。」
うっ……
一応先輩教師である彼。
結局強く断る事ができず、わたしは行くことを了承してしまった。
そして私の返事を聞いた彼は
ルンルン気分で自分の机に戻って行った。
「…若山先生、嫌なら嫌って言った方がいいですよ?」
『大丈夫ですよ。
明日も仕事がありますから遅くならないうちに帰ります。』
小林先生は私のことを心配してくれていて
あまりにもしつこいようなら教頭先生に相談するように提案された。
同じ職場の人だから大事にはしたくないけど
もし本当に困った時はちゃんと相談すると約束して
私達はそれぞれ次の授業をするため教室に向かった。
そして全ての授業と仕事を終えてから
職員室を出て校門に向かうと、男性教師が私をすでに待っていて…
心の中で大きなため息をついてから彼の元へ向かった。