第46章 心痛
「で?なにがあったの?」
『えっ、と…ね…』
「言っておくけど、誤魔化したら怒るからね?
あんたの嘘は昔から分かりやすいんだから。」
…流石だけど、やっぱりちょっと怖いなこの子。
私が昔、高校時代に嫌がらせをされた時も
隠してたら滅茶苦茶怒られたもんな……
『実は…昨日ね…』
私は紗栄子に全てを話した。
ジョディさんが私の恋人である赤井さんのことを好きかもしれないこと、
その事をジョディさんが好きなアーロンさんに聞かされたこと、
ジョディさんとは友人で、今まで色々とお世話になっていたこと、
私が赤井さんと付き合っていることで
ジョディさんを傷付けてるかもしれないと分かってしまったこと、
そしてその事で悩んで泣いているところを赤井さんに突っ込まれて誤魔化しきれず八つ当たりをして
喧嘩みたいなことをしてしまったこと…
さすがにFBI捜査官という職業と赤井さんの名前は言えなかったけど、一通り話終わると、彼女は大きな大きなため息をついていた。
「あんたってなんでいっつも
自分1人で抱え込もうとすんのよ…本当に馬鹿なんだから。」
『うっ…馬鹿なのは否定しません…』
「全く…。そのジョディさん、だっけ?
美緒はその人のこと、友人として本当に好きなんだよね?』
『っ、もちろん!』
「だったらその人とちゃんと話しなさい。
それで友情がダメになるならその程度の仲ってこと。
あんたが遠慮して身を引いたら、恋人も友人も
両方失うことになるんだよ?」
…その言い分は最もだ。
欲張りかもしれないけど
私は赤井さんもジョディさんも同じくらい大切で
2人とも失いたくない大事な人だから…
「いい?恋愛は誰かを傷つけることなんて茶飯事なの。
友情と恋愛、どっちも大事なのは分かるし
美緒が悩む気持ちも分かる。
だからって1人でウジウジ悩んで行動に移さないのは1番良くないことだと私は思う。」
確かに…私は1人で悩んで
赤井さんにもジョディさんにも何も話さず逃げてただけだ。
自分が人を傷つけてるって事が受け入れられなくて
目を背けようとするのに必死だった…