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《赤井夢》Happiness{R18}

第46章 心痛




「おい、美緒…どうしたんだ?」

『っ…』



いつの間にか目覚めていた赤井さんに声をかけられ
目を擦りながら鼻を啜ると、すぐに泣いていることがバレてしまった。




「なぜ泣いている…何があった?」





…本当のことなんて言えるわけがない。




ホテルでの出来事を話したら
赤井さんとアーロンさんが揉めてしまうかもしれないし
ジョディさんの気持ちだって…私から赤井さんに聞くのは絶対間違ってるから…



『何でもないですよ?
ただ赤井さんの作ったスープが美味しくてつい…』




無理矢理作った笑顔を向けてそう伝えても
赤井さんは全然納得していない表情で…


探られて突っ込まれても
誤魔化すことなんて到底できないだろう。


だから私は…




『赤井さん、お疲れですよね?
私今日はもう帰りますからゆっくり休んで下さい!』



赤井さんの横を通り過ぎて玄関に向かおうとしたけど…
そう簡単には帰してもらえず、腕を掴まれて引き止められた。




「自分の女が泣いているのを見て
休めるわけがないだろう…ちゃんと話せ、美緒。」

『っ…』




やっぱり赤井さんはすごく優しい。


いつも私のことを気にかけてくれるから…
でもその優しさに甘えるわけにはいかない…

だって今回は…私の気持ちの問題だから。




『本当に大丈夫ですから…
赤井さん、ちゃんと休んだ方がいいですよ。
目の下のクマ、全然治ってないじゃないですか。』


「…俺のことはいい。今はお前のことを聞いている。」


『だから…何でもないですってば!!』



ひどい言い方…

もっと冷静に話さないといけないのは分かってるのに
私の心はもうそんな余裕なんてないの…



急に大きな声を出しちゃったから
赤井さんは驚いた表情で私を見ていた。





『っ、すみません…でもやっぱり…
私なんかじゃ赤井さんと釣り合わないですよね?』

「…なんだと?」

『私はただの一般人の教師で…泣き虫だし、
料理しか取り柄がないし…それに…
赤井さんを困らせてばかりで…私なんかよりもっと…』

「美緒、それ以上言うと本気で怒るぞ」



私の腕を掴んだままでいる赤井さんに目を向けると
明らかに怒っているのが分かる鋭い目をしていて
体がビクッと震えた。







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