第45章 久々 ✴︎
side 赤井
朝目が覚めると、美緒の甘い香りがした。
久しぶりに美緒のアパートに泊まり
思ったより身体の疲労が蓄積していた俺は熟睡していたようで、ベットから体を起こすと、隣に美緒の姿はなかった。
もう仕事に行ってしまったのか、と考えていると
リビングの方から物音が聞こえ、心の中で愉悦し
寝室を出てリビングの扉を開けると
すでに身支度を整え終わっている美緒が
朝食を作っているところだった。
『あ、おはようございます。
すみません、音で起こしちゃいましたか?』
「いや…大丈夫だ。」
キッチンにいる美緒の元に近づき頬にキスをすると
みるみるうちに顔が赤く染まっていった。
『ちょっ…いきなり…!』
「そんなに照れるな。ただの挨拶のキスだろう?」
昨日の夜の方がもっと激しいキスをしたのに
なぜそんなに照れるのか分からないが、それもコイツの可愛いところの一つなんだよな…
『そっ…それより朝ごはん!
もう出来ますから座ってて下さい!
コーヒーも持って行きます…!』
恥ずかしそうに俺の背中を押して
キッチンを追い出そうとする美緒。
コイツの弱い力じゃ抵抗するのもなんて事ないが
あえて抗うことはせず、椅子に座った。
そしてすぐに朝食のサンドイッチとコーヒーを運んできてくれて、手を合わせてから2人で食した。
こんな風に美緒と朝を迎えるのは久しぶりで
とても穏やかな気分になり、自然と顔が綻んだ。
『赤井さんはこれから工藤邸に帰られるんですか?』
「ああ、お前はもうすぐ出る時間だったよな?
片付けは俺がやっておく。」
『いいんですか…?じゃあ…お願いします。』
恋人同士だから気にせずともいいんだが
俺に頭を下げて頼む律儀な美緒…
そんなところも可愛くて仕方ない。
美緒への気持ちは日に日に膨らむ一方で
この年でこんなに人を好きなるとは思わず俺自身も戸惑うくらいだ。
そしていつも美緒に会うと必ず思うことがある…