第44章 帰国
カフェを出た私達は
国際線の到着ロビー付近にある椅子に座って
再び会話に花を咲かせていた。
ジョディさんも短期間だけど教師だったから
仕事で大変だった時の話をしたり、生徒達の話をしたり…
話題に尽きる事はなくて、しばらく話しているとかなり時間が経っていた。
…もうすぐ赤井さんに会える。
そう思っている時
ロビーにあるテレビからニュースが流れ始めて
私とジョディさんは画面に目を向けた。
[たった今入ってきたニュースです。
アメリカワシントン・ダレス国際空港から
成田空港に17:00到着予定の便ですが、エンジントラブルが起き
墜落する可能性があるかもしれないと機長から管制塔に連絡がありました。現在はまだ飛行中のようですが、進路を変更して緊急着陸をするための準備が行われています。]
そのニュースを聞き私の全身から冷や汗が流れ
ジョディさんの顔色も青ざめてしまっていた。
「確かシュウが乗る飛行機の便…
17:00到着予定って言ってたわ…」
『!!っ、そんな…』
もし飛行機が墜落、なんてことになったら…
乗客の人達は……赤井さんは…
嫌な考えばかり思い浮かんできてガクガクと体が震え出した。
「美緒!しっかりして!!
まだシュウが助からないって決まったわけじゃないわ!」
『で、でも…もし墜落したら…』
「シュウはそんな簡単に死なないはずよ。
美緒なら分かってるでしょ?
…待ってて、空港の従業員にもっと詳しい話を聞いてくるから。」
ジョディさんは私が落ち着くように声をかけた後
私の元から去って行った。
体の震えは全く治ってくれなくて
私はずっとニュースが流れている大きな画面を見続けていた。
『赤井さん…』
もう会えないなんて事ないですよね…?
東京に帰ってきたら…
たくさんキスしてくれるって言ってましたよね?
これからもずっと
私と色んな時間を過ごしていきたいって……
優しい笑顔でそう言ってくれてたのに……
『嫌…
もう会えないなんて…嫌ですよ…』
気がつくと両目から涙がとめどなく溢れ出し
私の頬を伝っていた。
両手を握り締めながら
赤井さんが無事であることを祈っていると
私の名前を呼ぶ声が聞こえた。