第44章 帰国
空港に着いてから私とジョディさんは
ランチが美味しいと評判のカフェに入り
食事を終えた後、雑談をしながら時間が過ぎるのを待っていた。
「あら?ひょっとして美緒のその時計って…」
『あ…はい。色は違いますけどお揃いなんです…』
「あのシュウが恋人とお揃いの物を身につけるなんて…
本当にあなたに夢中なのね?」
そう話した時のジョディさんは
ニヤついて私を見ているようだったけど…
一瞬だけ悲しそうな表情になっていた。
「シュウも仕事中に何度か腕時計眺めてたし
2人が幸せそうで、私は嬉しいわ。」
『っ、あ、ありがとうございます…』
「ふふふっ。じゃあそろそろお店出ましょうか。」
さっきの悲しそうな表情は気のせいだったと思うくらい
ジョディさんは笑顔に変わっていたから…
何も聞くことはせずに私達はお店を出た。
……この時、私がちゃんと突っ込んで聞いていれば
後々赤井さんとの仲は拗れずに済んだのかもしれない…
そう後悔するのはもう少し先の話…