第43章 謝意
赤井さんがアメリカに行ってしまってから3日が経った。
今日は学校が休みなんだけど
特に予定が決まっていない私は自分の家でごろごろして過ごしていた。
…最近休みの時はいつも工藤邸で赤井さんと過ごしてたからなぁ。
こんな風に1人で過ごす休日は久しぶりで
ゴロゴロしながらでも考えてしまうのは赤井さんのことばかり。
『うー…会いたいなぁ…』
まだ3日しか経っていないのに
赤井さんが日本にいないと思うだけで寂しい気持ちがいつもより強い…
でも赤井さんはアメリカに行ってしまった日から毎日
私に電話をかけてきてくれる。
日本は夜で、アメリカは朝の時間にいつもかけてきてくれて
数分間他愛無い話をするだけだけど、その数分間はいつも幸せ。
ピリリーッ…
赤井さんの事を考えていると、急に鳴り出した私のスマホ。
『電話…?誰だろう…』
赤井さん…じゃないよね?かかってくるのはいつも夜だし…。
スマホを手に取り着信画面をみると
そこには "安室 透"と表示されていた。
赤井さんが日本にいない今
電話に出ようかすごく悩んだけど、きっと安室さんは
私が電話に出るまでしつこくかけてくる気がしたから
私は通話ボタンをタップした。
『…もしもし。』
「こんにちは美緒さん。
今お電話しても大丈夫ですか?」
『まぁ…一応大丈夫です。』
本当は赤井さんが近くにいない時は
安室さんとは関わりたくないんだけどな…
でもそんな事は言えるはずもなく、安室さんが話すことに耳を傾けた。
「先日歩道橋から落ちた時に負った怪我は治りましたか?」
『えぇ、お陰様で…
あの時は本当にありがとうございました。』
「いえいえ。ところで先日した約束、覚えてますか?」
『覚えてますよ。
何か手料理をご馳走すればいいんですよね?』
本当にそんなお礼でいいのかと思うけど…
安室さんがそう望んでるからそれでいいんだろう。