第43章 謝意
「向こうに行ってからも
食事と睡眠はちゃんと取らなきゃだめよ?」
「…なんだか最近、
お前もキャメルも俺に世話を焼きすぎてないか?」
美緒と出会うまでは大して何も言ってこなかったはずだが
この頃はこうして何度も体調面を気に掛けられている気がする。
「キャメルがね、美緒に頼まれたらしいのよ。」
「頼まれた……?」
「シュウは仕事に没頭すると
いつも自分の事を疎かにするじゃない。
睡眠と食事、ちゃんと摂るように見張ってて欲しいって言ってたみたいよ?私はその事をキャメルから聞いたの。」
「っ、あいつ…」
ジョディの話を聞き、
俺の事を心配してくれている美緒への愛しさが込み上げてきて、すぐに車を引き返させてこの手であいつを抱きしめたくなった。
そしてキスをお預けにしたことを激しく後悔した…
「ふふっ。美緒のためにも、早く帰ってきなさいよ?」
「あぁ……あいつに何かあった時はよろしくな。」
笑いながら頷いているジョディの運転する車にしばらく揺られていると空港に到着し、俺は飛行機に搭乗した。
日本とアメリカの時差は13時間…
会えない分、毎日電話をしようと決めて
アメリカに到着するまでの間、少しでも体を休めるために目を閉じた。
一日でも早く仕事を終わらせて、美緒に会いたい。
こんなにもあいつの虜になっている俺が
美緒に飽きる日なんて来るのか?
…恐らく一生来ないだろうな。
なぜ美緒が飽きたから振られると思ったのかは知らないが
日本に帰ったらそんな事を考える余裕もない程に俺の気持ちを伝えてやるか…
そんな事を考えているうちに俺は眠りにつき
目を覚ましてから数時間後にはアメリカに到着した。