第41章 返礼
『次はこのお店にしましょう!』
「ここは…台湾唐揚げで有名なところですね。」
『はい!テレビで見てから食べてみたかったんです!』
先程よりも長い列が出来ていて、人気の高さを実感し
昴さんと他愛無い話をしていると列は進み
20分くらい経つと大きな唐揚げを購入できた。
『実物初めてみましたけどこんなに大きいとは…』
「ははっ、
美緒さんの顔より少し大きいサイズですね。」
両手でその大きな唐揚げを持ちそのサイズ感に圧倒されたが
とても美味しそうな匂いが漂っており、口を開けてかぶりついた。
『おいしーいっ!!
鶏肉の味付けもいいし、クリスピー感も最高です!』
昴さんにも差し出すと、私と同じようにかぶりついていて
その美味しさに顔を綻ばせていた。
「鶏のむね肉を使った唐揚げだからかなりあっさりしてますね。
これならこの大きさでも2人で食べられそうです。」
『えー?1人1枚でも余裕ですよ!』
「…それはちょっと遠慮します。」
苦笑いをしている昴さんを見ていると
赤井さんの顔で同じような苦笑いの表情が想像できて
クスッと笑っていると、私の考えていることがバレたのか
軽く頬をつねられた。
「ほら、歩きながら食べて次のお店を探しましょう。」
『ふふっ、はーい。』
…どうしよう、すっごく楽しい。
こんな風に赤井さんとデートできて幸せすぎて叫びたいくらい。
普段は仕事が忙しくてお家デートが多いし
会えるだけで十分幸せだけど、外で過ごすのがこんなにも楽しいなんて…
『昴さん…大好きです。』
「っ、急に何ですか…」
『なんか言いたくなっちゃって!』
「…。」
ニコニコしながら気持ちを伝えると今度は鼻を優しく摘まれた。
「だから…あまり可愛い事を言わないで下さい。」
『ご、ごめんなふぁい…』
素直に謝罪をするとすぐに手を離してくれて
昴さんは歩き出し、私は彼の後をついて行った。
…その時の昴さんは口元に手を当てていて
それはあの人が照れている時にする仕草。
背中から抱き付きたくなる気持ちを抑え
私たちはその後も中華街を楽しんだ。