第41章 返礼
『す、昴さん…?』
「…悪い、お前が可愛すぎてつい、な。」
『っ…』
昴さんの声なのに急に赤井さんの口調でそんなこと言うから
顔に熱が集まってくるのを感じ、心臓の鼓動も早くなってしまった。
「そんな顔をするな……歯止めが効かなくなる。」
『っ、昴さんの声でそんな事言わないで下さい…!』
2人きりの車内だからいいけど
もし外で甘く迫られたら反応に困っちゃうよ…
「ふっ…まぁ、楽しみは後に取っておくことにしよう。
出発するぞ。」
『はい!お願いします!!』
ようやく初デートの行き先に向けて出発した赤い車。
私の鞄の中には
赤井さんへのお返しであるプレゼントが入っていて
いつ渡そうか考えながら会話をしていると
1時間経たないうちに目的地に到着した。
ーーー…
『うわぁ…!素敵な建造物ですね!』
「僕も見るのは初めてです。」
私達がやってきたのは横浜ー…
目の前にはレンガでできた倉庫。
横浜を代表する観光スポットで、文化施設、商業施設としても有名だ。
『さっそく中に入りましょう!』
「待って下さい美緒さん。」
ワクワクした気持ちのまま歩き出そうとすると
昴さんに止められて…
振り返ると、私の右手は昴さんの左手によって繋がれていた。
「今日は休日で人も多いですから逸れないように繋いでいましょう。それに…デートですからね。」
『っ…そう…ですね…』
手を握られただけなのにすごくドキドキして
昴さんの顔をまともに見れないまま、私達は倉庫の中を順番に見て回った。
雑貨屋、衣服、飲食店など様々な店舗があり
見て回るだけでもとても楽しい…
でも私がここに来たかったのには理由があった。
それは…