第41章 返礼
『変じゃない……よね?』
少し早起きをして、全身が映し出される鏡の前に立ち
デートの衣装合わせ。
ミディ丈のクリーム色のスカートに黒のニットを合わせた
カジュアルなコーディネートにしてみた。
服装を整えて、髪もゆるく巻きメイクを終えたところで
赤井さんから私のアパートに着いたと連絡が来て
ショルダーバックを持ち、ブーツを履いて外に出た。
アパートの入り口近くに停まっている赤い車に近付くと
昴さんの顔をした赤井さんは車を背にもたれかかりながら
タバコを吸っているところだった。
……うん、かっこよすぎる。
見惚れながらゆっくり近付くと目が合ったけど
赤井さんは何も言わずにジッと私を見つめたまま固まっていた。
『あの……昴さん?どうかしました?』
「今日はいつもと少し雰囲気が違う…ので…」
『え……あ!もしかして服おかしいですか!?
待ってて下さい、違う服に着替えてきます!』
やっぱり無理しておしゃれなんてするもんじゃないなぁ、と思いながら踵を返して自分の部屋に戻ろうとすると、後ろから腕を掴まれた。
「変じゃないですよ…
すごく可愛くて……とても似合ってます。」
『っ…』
昴さんの顔だから顔色は変わらないけど
可愛い、と褒めてくれた赤井さんは雰囲気から照れているのが伝わってきた。
『ありがとうございます…
あの…昴さんもいつも通りかっこいいですよ!』
変声機を隠すための黒のハイネックにジーンズというラフな服だけど、赤井さんは脚が長いから
それだけでかなりオシャレに見える……いつもね。
「…じゃあ行きましょうか?乗って下さい。」
『ふふっ、はい!お願いします!』
私のかっこいい発言をスルーした赤井さんは
話をすり替えるように助手席のドアを開けてくれて、私は座席に乗り込んだ。
…そして昴さんも運転席に座り、扉を閉め終わるとすぐに
私の後頭部に手を添えて…
ちゅっ、と優しくキスをされた。