第39章 復仇
『あ、赤井さん……苦しいです…』
「…お前が銃を突きつけられている時
俺がどんな気持ちだったか分かるか?」
『え…?』
「自分が死ねば彼等を救えると思ったかもしれんが
俺はお前に……そんなことをして欲しくはない。」
そう話す赤井さんは泣いてはいないようたけど
私を抱き締める腕は力強いのにとても震えていて……
なんだか声もいっぱいいっぱいで
いつもの落ち着いたトーンではなく、絞り出されるような声で言葉を紡いでいた。
「美緒を目の前で失うんじゃないかと思った…
もう二度と…こんな気持ちにはさせないでくれ…。」
『っ…。』
私の存在を確かめるかのように
赤井さんは強く私のことを抱き締めて、そのまましばらく離してくれなかった。
『赤井さん…あの…暗くなってきたので
そろそろ帰らないと…』
そう伝えると、赤井さんは漸く体を離してくれて
私の手をギュッと握り、出口に向かって歩き出した。
『あ…私職員室に荷物取りに…』
「お前の鞄なら体育館の入り口の所に置いてある。
たぶんソフィアが他の教員達に美緒はすでに帰ったと見せかける為に持ってきていたんだろう。」
赤井さんの言う通り、
体育館の扉のところに私の鞄が置いてあって
それを肩にかけると赤井さんに再び手を握られた。
『あの…赤井さん…嬉しいんですけど
どうして手を繋ぐんですか…?』
「今は…お前の温もりを少しでも感じていたいんだ。」
もう学校には誰もいないようだけど
外で手を繋いでたりしたら誰に見られるかもしれないのに…
私はそれほど赤井さんに恐怖を与えてしまっていたんだ…。