第39章 復仇
「若山先生…ごめんなさい……
あなたは何も悪くないのに巻き込んでしまって…
本当に…ごめんなさい…!」
「アンタを車で轢こうとしたり、植木鉢を落としたのは俺です。
アンタが傷付けば、この男が出てくると思って…
申し訳ありませんでした…」
ソフィアさんとダニエルさんは私に向かって頭を下げてきて
まさかそんな風に謝罪されるとは思わず、私は慌てて頭を上げるように伝えた。
『謝らないで下さい…
私はこうやって生きてますし…それに……
赤井さんへの誤解が解けたので、私はもう満足してるんですから。』
2人にニコニコしながらそう話していると
赤井さんは呆れたようにため息をついていた。
「シルバーブレットは…素敵な人を恋人にしたのね?」
「でも少し変な女だよな…。ちょっと苦労しそう。」
「それが美緒の良いところでもある。」
『…なんか私悪口言われてません!?』
初対面の人にまで変って言われるって…
私ってそんなにおかしいの…!?
1人で悶々と唸っていると
キャメルさんと複数のFBI捜査官が到着し
ダニエルさんとソフィアさんは体育館の出口に向かって歩き出して、私は最後にもう一度声をかけた。
『ソフィアさん!いつか必ず小学校の先生になって下さいね!
あなたなら絶対、いい先生になれます!!』
「…っ、ありがとうございます…」
ソフィアさんは私に笑顔を向けてくれて
頭を下げてから再び歩き出した。
「…キャメル、あとは頼んだぞ。」
「はい!了解です!」
彼等を見送っている時に気付いたんだけど
外はもうだいぶ日が沈んできていて、体育館の中は薄暗くなっていた。
扉が閉まる音が聞こえて赤井さんと2人きりになると
急に体の力が抜けてきて、私は足元から崩れ落ちそうになったところを赤井さんに抱き留められた。
「っ、おい…大丈夫か?」
『あはは…どうしたんだろう…
助かったと思ったら急に安心しちゃったのかもしれません…』
それに近くで赤井さんの顔を見たら
2人とも無事だったことが実感できてホッとしたからかも。
支えられながら立っていると
赤井さんは私のことを力強く抱きしめてきた。