第6章 正体
「…ジョディ先生。
ベルモットの口癖だった言葉、覚えてるよね?」
「えぇ。女は秘密を着飾って美しくなるってやつでしょ?」
「その言葉を若山先生も使ってたんだ。
英語じゃなくて日本語で言ってたけどね…」
「「「!?」」」
まさか……
なぜ美緒がその言葉を…?
本当に何か組織と繋がりがあるのか…?
俺は心の中で動揺してしまい、それを悟られないように疑問を投げかけた。
「仮にあの女が組織の人間だとして
水無怜奈の家に行った時の反応は?
彼女達が人見知りだった場合、ボウヤなら気付いただろう。」
「そう…僕もそれが引っかかってるんだ。
2人は本当に初対面だったみたいだから…
それでFBIの人にもっと調べて欲しいんだよ。」
「…分かった。
ジョディ、ジェイムズ…若山 美緒の事は俺が調べる。
何か分かったら報告するよ。」
俺の言葉を聞いて頷いた2人。
早速美緒のことを調べようと思い、俺はあいつの住むアパートへと向かった。
それから何日間か美緒にバレないように尾行したが
特に怪しい所など何もなく
本当に裏表がない一般人としか見えない。
調べれば調べるほどその気持ちは強くなった。
尾行を止めるべきか考えていると
美緒がまたガラの悪い男に絡まれているのを目撃した。
今度は歩道を歩いていた子供が
誤って1人の男にぶつかってしまい
その子供を庇うために美緒が飛び出していた。
…それでお前が絡まれてしまったら元も子もないだろう…と思いつつ、放っておくわけにもいかず
俺はまた絡まれている美緒を助けるため、声をかけた。