第39章 復仇
「昨日、僕はたまたまその歩道橋の近くにいて
怪我は大した事なかったんですが、病院まで付き添いました。
でも美緒さんに
あなたにはこの事を言うなと言われましてね…」
……あの馬鹿。
俺が仕事で忙しくしているから
心配かけまいとして黙っていたんだろうが…
何かあれば連絡しろといつも言っているのに。
「FBIが追っている事件なんて興味ありませんが
美緒さんを巻き込むなら別です。
彼女は狙われてる…さっさと保護した方がいい。」
「君は…美緒の事になると
わざわざ俺に連絡をしてくれるんだな?
…礼を言う。」
返事を聞かずに電話を切り、そのまま美緒に電話をかけた。
もうすぐ日が暮れる時刻で
あいつはまだ学校で仕事をしているとは思うが電話には気付くだろう。
数回コール音がした後、電話に出る音は聞こえたが
いつも俺の名前を呼ぶ美緒の優しい声は
なかなか聞こえてこなかった。
「沖矢 昴……いや、赤井秀一だな?」
「!!」
聞こえてきたのはいつもの美緒の声ではなく
男の低い声だった。
「お前の大事な女は預かってる…
殺されたくなかったら1人で助けに来い。
場所はメールで送る。」
それだけ言うと男は電話を切り、すぐに美緒の宛名からメールが送られてきた。
【帝丹小学校 体育館】
「美緒…」
俺が行かなければあいつが殺される。
だがそんなこと……絶対にさせない。
車のハンドルを強く握りしめて
俺は帝丹小学校に向かって車を走らせた。
美緒……
巻き込んでしまって悪かった……
だがお前の命だけは絶対に…誰にも奪わせはしない。
お前の事は……俺の命に変えても守ってやるからな。