第38章 危機
side 赤井
美緒が持ってきてくれた差し入れのお陰で
心身共に回復した俺は、再び今追っている資料に目を通した。
しばらくするとキャメルがホテルに戻ってきて
美緒を無事に家まで送り届けてきたと言っていた。
「あの…赤井さん、
美緒さんには今追ってる件のことを話さなくていいんですか…?」
「…話したら余計な心配をかけてしまうからな。」
「でも…
美緒さんが狙われる可能性もありますよね?」
「分かってる。だがFBIの護衛をつけたら目立つ、
美緒と俺の関係に気付かれる恐れもあるんだ。」
だから美緒に危害が及ぶ前に
早くこの件を片付けたいところなんだが…
まだ"奴ら"の所在が分からなくて、捜査は難航している。
「学校では…大丈夫ですか?」
「ああ。さすがに学校で騒ぎを起こすと目立つし
あのボウヤも美緒の事を気にかけてくれているからな。」
「なるほど…確かにコナン君がいるなら安心ですね。
…では自分も捜査に戻ります。」
俺に頭を下げたキャメルは部屋から出て行き
誰もいなくなった途端に美緒の顔が頭に思い浮かんできた。
普段の俺なら仕事中に他事を考えたりしないが
最近では、いつもふとした時に美緒の笑顔が頭に浮かんでくる。
俺は本当に…
心から美緒のことが好きなんだと思い知らされる。
俺からデートに誘ったことで喜んでいたあいつの顔を思い出すと、またすぐに美緒に会いたくなった。
今度会う時は、今追っている件が解決し
気分良く美緒とデートをしたいものだな。
再び頭の中を切り替えて
FBIの仲間が集めた資料を読み漁り、その日からもしばらく仕事に没頭したが…
この時の俺は、本当に美緒に危害が及ぶとは
全く予想していなかった…