第38章 危機
キャメルさんが運転する車に乗って数十分…
杯戸町にある一軒のホテルに到着し
どうやら今はこのホテルが
FBIの捜査官の人達が隠れ家にしている場所らしい。
地下の駐車場に入り、車を降りてからエレベーターに乗って
キャメルさんが押したボタンの階で降りてから彼の後をついて行くと、一つの部屋の前で立ち止まった。
備え付けのインターホンを鳴らすと
おそらくFBIの捜査官であろう1人の男性が出てきて
私とキャメルさんを部屋の中に招き入れてくれた。
その人にもペコっと頭を下げ部屋の中に進むと
赤井さんがソファーに座り、何かの資料の紙を真面目な顔で読んでいるのが見えた。
……久しぶりに赤井さんの素顔を見たけど
やっぱりめちゃくちゃカッコいい。
「キャメル、ご苦労だったな。」
「いえ!これくらいお安いご用です!」
キャメルさんにお礼を言いながら
赤井さんはソファーから立ち上がり、私の元に近づいて来た。
「わざわざ悪かったな。」
『い、いえ…!これ頼まれてたタブレットです!
それと…差し入れにサンドイッチ作って来ました。』
「すごい量だな…作るの大変だっただろう?」
『全然ですよ!むしろ作り出すと止まらなくなっちゃって…
赤井さん、お腹空いてます?』
赤井さんにそう尋ねたところで、
近くにいたキャメルさんが私の質問に答えてくれた。
「実は赤井さん
美緒さんがきっと何か作って持って来てくれるから
朝から何も食べてないんですよ。」
『っ、え…』
「…キャメル、それは美緒に言わなくてもいい。」
…否定しないってことは本当なんだ。
赤井さんが私の作ったものを楽しみにしてくれてたんだと思うと嬉しくて笑みが溢れた。