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《赤井夢》Happiness{R18}

第36章 補佐




「若山先生、そろそろ種明かししてくれませんか?
私達のケーキと作り方の手順は一緒だったのに
どうしてこんなに味が違うんですか?」

『私が作ったケーキは食紅を使わずに赤くしたからです。
ヒントはこのココアパウダーですよ。』





美緒さんは
スーパーで買ってきたパウダーが入った袋を見せてくれたので
僕は裏に記載されている成分表を確認した。




「!!なるほど…
このパウダーはアルカリ処理がされてないものですね。」

『おー…さすが安室さん。
成分表見ただけで分かっちゃうんですね。』

「え?え?どういうことですか?」




簡単に説明すると
ココアに含まれているアントシアニンという色素が
ビネガーの酸に反応し化学反応を起こして生地が赤くなり
僕達が作ったケーキのココアパウダーは
口当たりをよくするためにアルカリ剤が添加されているから
酸には反応しなかったというわけだ。





「梓さんも小学校で習う
リトマス試験紙の実験はご存知ですよね?
酸性は赤に、アルカリ性は青に…仕組みはそれと同じです。」


「なるほどー!!
でも若山先生はなんで分かったんですか?
昔お婆ちゃんが食べたのがこっちのケーキだって。」


『安室さんから電話で話を聞いた時、
酸味や苦味のあるケーキだって教えてもらいましたし…
そのお話はお婆さんから聞いたとも言ってましたよね?
だからきっと昔ながらの手法で作ったんじゃないかなって思ったんです。』





この人…


僕の話を聞いただけでそこまで読めたのか…



『まぁ、私はアメリカに行ってた経験があって
このケーキのレシピもホストファミリーに教えてもらったんですけどね?』


「それでもすごいですよ!さすが若山先生!」

「本当にありがとね…
若かったあの頃に戻ったような気がしたわ。」

『いえそんな…喜んでもらえて私も嬉しいです。』




2人に褒められて照れ臭そうにしている美緒さんは
とても嬉しそうに笑っていて…


ずっと見ていたいと思うぐらい素敵な笑顔だった。




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