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《赤井夢》Happiness{R18}

第36章 補佐


side 安室



切り分けたケーキをみんなで試食することになり
最初は僕と梓さんが作った方のケーキを食べた。





「んー!美味しいですね!」

「うん、いけますね。
クリームチーズのフロスティングと
チョコ風味のスポンジがよく合ってます。」





やはり美緒さんに頼んでよかったな。
教える人が上手だと、こんなにも美味しく出来上がるんだから。





『すっごく美味しいです!
さすが喫茶店の店員さん達なだけありますね!
スポンジもフワフワで最高です。』




…僕達は美緒さんの言う通りに作っただけなんだけどな。

いつも嬉しい言葉をくれる人だ。






「お婆ちゃんはどうですか?」

「とても美味しいわ。
甘さも控えめですごく食べやすいし上品な味よ。」




そうは言ってくれたものの
おそらく昔に食べたケーキとは異なる味のようで…
少し残念そうな表情を浮かべていた。





『お婆さん、
今度はこちらのケーキを食べてみて下さい。』

「ええ…頂きます。」



僕と梓さんも同じように一口食べてみたが…



「美緒さん、これは……」

『安室さん、正直に言ってくれていいですよ?
先に食べたケーキの方が美味しいですよね。』




その通りだった…
美緒さんの作った方は少しクセがある味だ。

食べられないほど美味しくないわけではないが
喫茶店のメニューにするほどの味ではなかった。





「若山先生、なぜこれを作ったんですか?」

『それよりまずはお婆さんにも感想を聞きましょう?
いいがですか……って、えぇ!?』




そのお婆さんはなぜか静かに涙を流していて
僕達はとても驚いた。





『ご、ごめんなさい!
そんなにお口に合わなかったですか!?』

「ううん、違うのよ…
私が昔食べたケーキと同じ味がするから…
すごく懐かしくて…またこのケーキを食べられて嬉しいの。」




そのように話すお婆さんはとても嬉しそうで
それを聞いた美緒さんもホッとしているようだった。





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