第34章 水泳
「この10円玉の上からコップを逆さにして
空気が入ったまま10円玉に被せると…」
「!!すっごーい!消えてるように見える!
さすがコナン君だね!」
「あ、いや……ただの理科の実験だよ!
学校の先生に教えてもらったんだ〜!」
教えてない教えてない…!
そんなこと教えたことないから!
江戸川くんの言葉に苦笑いしていると
世良さんが詳しく説明をしてくれた。
「高木刑事もこれと同じで
空気の入った水槽の中にいて姿が見えなかったんだ。
簡単に言えば空気と水槽とプールを利用したことによって
光が反射して鏡状になり、姿を隠せたってわけさ。」
「じゃあ…犯人は永美さんを溺死させた後、
プールに沈んだ遺体に水槽を被せ
プールの両サイドの排水口に渡した釣り糸で
その水槽を固定させたってことかね?」
「あぁ。釣り糸の端をプールの水面近くに埋め込んだフックに引っ掛ければ、水の中に入らなくても釣り糸を切って水槽を浮上させ
遺体を露わにすることができる。
…さっきコナン君がやったようにね?」
『…。』
世良さんって本当にすごい…。
さすが女子高生探偵というだけあって見事な推理力。
「でも世良ちゃん、
お嬢様の遺体を見つけた時、あの水槽割れてたよね?」
「そうそう!犯人はいつ水槽を割ったの?」
「お嬢様の遺体をプールサイドに運んだ時だよ!
きっと持っていた酸素ボンベで叩き割ったんだ。
水中でガラスを割っても音はほとんど聞こえないし。」
酸素ボンベって……
確か遺体を見つけた時にボンベを運んでたのは……
「そう…
犯人はこのホテルの支配人であるアンタだよ。」
「っ…」
『で、でも世良さん…
この人ガラスの破片を踏んで怪我したんだよ?
自分でわざわざそんなことする?』
私にはとても信じられない。
いくら殺人のトリックを隠すために自分で自分を傷つけるなんて…