第34章 水泳
「あるお嬢様のわがままだよ。
大事なネックレス落としちゃったから
1人でプールに潜って探したいんだってー。」
『え…そうなの?』
「そのお嬢様はこのホテルのオーナーの娘さんで
支配人も断りきれなかったみたいです。」
…本当にただのわがままじゃん。
あ、だから更衣室から出た時に
ネックレス持っていないか手荷物検査もされたのか…。
「そういえば先生って、コナン君の担任なのか?」
『ううん、江戸川くんはB組で私はC組の担任なの。
でも何回か一緒に事件に巻き込まれたりしてるから
学校以外で会うことも多かったから…」
私の説明に世良さんは納得してくれて
今度は彼女の隣に座っていた園子ちゃんがニヤニヤしながら話し出した。
「若山先生はね、
新一くんの家に住んでいる昴さんといい感じなのよ?」
『ちょっ!?園子ちゃん!?』
「昴さん、って…あの眼鏡かけた大学院生か?」
「そうそう!あの人先生にお熱みたいでさ〜」
「ちょっと美緒!?そんな報告聞いてないよ!?」
…だって言ってないもん。
自分から言い出すのも恥ずかしいし…。
「あんたこの前会った時より綺麗になったな〜って思ったから何かあるとは思ったけど
好きな人できてたんだね〜。」
『!?べ、別に変わってないって!何言ってんの!?』
「何年友達やってると思ってるの?バレバレだから。」
…もうやだ!やっぱりこの子怖い!!
「じゃあ先生も昴さんのこと好きってことか?」
『え!?えーっと……』
世良さんの質問にかなり困った私は
江戸川くんに助けを求めようと視線を送ったけど
ただ苦笑いされただけだった。
…ちょっとは助けようとしてくれたっていいじゃん!!
なんて言えばいいか迷っていると
私の友人のスマホが鳴り出し、彼女は画面を見ると明らかに顔を顰めていた。
「うわぁ…仕事場から電話だ……はい。」
彼女は二言三言電話で話すとすぐに電話を切り
ため息をついて鞄を手に取って立ち上がった。