第34章 水泳
「コーヒー淹れてくるからお前はゆっくりしてろ。
朝飯は少なめでいいよな?」
『はい!ビュッフェでたくさん食べたいので…
ありがとうございます。』
私に優しく微笑んだ赤井さんは寝室を出て行き、私はまだ少し体が怠いけど5分後にはベットから起き上がった。
床に散らばっている服を着てからキッチンに行き
赤井さんと一緒に朝ごはんを食べ
のんびりと出かける準備をして2人で工藤邸を出た。
赤色のスバル車を運転する赤井さんは
昴さんの変装をしていて、FBIの人達と落ち合うらしい。
「今日会う友達は女か?」
『当たり前じゃないですか。
高校生の頃から仲良くしてる親友なんです。』
「そうか。…悪いな、美緒。」
『?何に対して謝ってるんですか?』
「お前は親友にさえ恋人がいることを報告できないだろ?
俺は一応死んだことになっているからな。」
…赤井さんってこういうところが真面目で律儀なんだよね。
いつも私のことを気遣ってくれるし…
本当に優しい人だな。
『私は気にしていませんから大丈夫ですよ?
だから謝らないで下さい。』
「だが…」
『もし友人に話したくなったら
昴さんと付き合っている事にします。
それならいいですか?』
「……少し複雑だが…まぁいいだろう。」
…同一人物なのに複雑なんだ。
真剣に悩んでいる昴さんの顔をした赤井さんが面白くて
クスクス笑っている間に目的地であるハイドプライドホテルに到着した。
『送って頂いてありがとうございました。』
「ああ。楽しんでこい。」
『はい!じゃあ……っ!!』
ドアの取手に手を掛けようとしたところで
赤井さんは運転席のシートベルトを外し、体を寄せてきて
私の唇にちゅっ、とキスをした。
『っ、誰かに見られちゃいますよ…』
「別にいいだろ?お前は沖矢昴の恋人でもあるんだから。」
『そういう問題じゃありません!!』
キスのせいで顔が赤く染まったまま私は車を降り、
赤井さんは私にフッと笑顔を向けると去っていった。
そしてホテルの入り口で待つ事数分…
私の友人が時間通りにやってきた。