第34章 水泳
目の前にはほんのりお酒の香りがする赤井さんがいて
近い距離で目が合っただけで胸がドキッと高鳴った。
『赤井さん…恥ずかしいです…』
「せっかくお前と一緒にいれるのに
くっつかないのは勿体無いだろう。」
もったいないって…
確かに赤井さんは忙しいし
2人きりでこうやって過ごせるのは私も嬉しいけど…
『赤井さんがかっこよすぎて…
ドキドキしちゃって苦しくなるんですよ…』
「…お前のその素直さは時々毒だな。」
『毒…!?』
そんな事は言ってほしくないって意味なのかな?
……でも赤井さんは私から目を逸らすと
ほんのり顔が赤らんできていて…
『え…まさか照れてるんですか?』
「っ、酒のせいだ。」
『普段全く顔色変えないくせに何言ってるんですか。』
拗ねた子供のようにそっぽを向いている赤井さん。
その姿はなんだか少し可愛らしかった。
『ふふっ。』
「おい…何を笑っている。」
『何でもありませーん。』
「…相変わらずお前は変な女だな。」
赤井さんに変だって言われるのは全然嫌じゃなくて
むしろ嬉しい。
赤井さんの意地悪発言に対してニコニコしていると
私の後頭部に赤井さんの手が回り、グッと引き寄せられると
私達の唇がソッと重なった。
『んっ……赤井さん…』
唇が離れてから名前を呼ぶと
赤井さんは熱のこもった目で私を見ていた。
「美緒…一度しか言わないからよく聞け。」
『へ…?』
「俺が家族に恋人を紹介したいと思ったのは…
お前が初めてだからな。」
『!?!?』
な、なんで今そんなこと言うの!?
驚きもあるけどあまりにも嬉しくて…
熱が出たんじゃないかって思うくらい全身が一気に熱ってきた。
「ふっ、顔が真っ赤だ。」
『赤井さんのせいじゃないですか!』
「やられたらやり返す。俺はそういう男だ。」
…この負けず嫌い!!いい歳した大人のくせに!!