第33章 運命 ✴︎
「最高に美味い……さすがだな。」
『っ、良かったです…!』
やっぱり私は…
赤井さんが私の作ったものを美味しい、って
笑いながら言ってくれる顔が1番好き。
赤井さんが大好きで……すごく愛しい…
『あ…そういえば昔の赤井さんって少し髪長かったんですね!』
「まぁな。
お前とニューヨークで会った時はサングラスもかけてたし
再会して気付かなかったのも無理ないか。」
『私もまだ高校1年生でしたから。』
前世で赤井さんの写真は何度か見たけど
長髪姿の写真は見たことは無かったから…
それにハリウッド女優に会えた事が嬉しすぎて
怖い目にあった事なんてすっかり頭から抜け落ちていた。
「お前も食え、これ美味いぞ。」
『そうですね…じゃあ頂きます!』
自分で作ったカップケーキだけど
これも私のオリジナルレシピで作った物だから自信作の一つだ。
『んー!美味しく出来てる!
あ、赤井さんももう一つ食べます?
冷蔵庫にまだありますよ!』
ケーキが美味しく出来た事に喜びながら
赤井さんの方へ顔を向けると、彼は私のことを微笑みながら見つめていた。
『あ、の…赤井さん、聞いてます…?』
「悪い、聞いてなかった…
お前に見惚れていたからな。」
『!?な、何言ってるんですか!?』
なんだかケーキよりも赤井さんの視線の方が甘くて…
顔が熱くなるのを感じ、恥ずかしくてパッと視線を逸らした。
「美緒…こっち向け。」
『っ、向けません!』
恥ずかしくて目なんか合わせられないよ…。
心臓の音がドキドキしてうるさいし
顔もずっと熱いままだし…
下を見て俯いてると赤井さんの両手が私の頬を挟み
グイッと持ち上げられて無理矢理目を合わせられた。