第31章 由縁
『それで…私に何か用ですか?』
「僕が公安の人間なのは聞いてますよね?
先日亡くなった銀髪の女性について聴取したいんです。
探偵団の子供達に聞くわけにはいきませんから…』
…確かにそうだ。
子供達はあの人が亡くなった事は知らないし
もし伝えたら悲しむ事なんて目に見えてる。
『そういうことなら…分かりました。』
「ありがとうございます。
じゃあ時間と場所はまた連絡しますね。」
安室さんはすぐに電話を切り、私は子供達のところへ戻った。
子供達には
安室さんからの電話だったことは黙っておいて…
おやつを食べ終わってからも楽しく遊んで過ごし
みんなが帰る頃に合わせて、私は赤井さんに会いに工藤邸に向かった。
ーーー…
合鍵を使って中に入ると
昴さんの顔をした赤井さんが玄関の扉が開く音が聞こえたのか
私を出迎えに来てくれた。
…でも夕方だというのに
彼の髪は少し寝癖がついている状態だった。
『ごめんなさい、寝てました?』
「いや…少し仮眠を取っていただけだ。」
私の元に近づいてきた昴さんの寝癖を整えようと髪を触っていると
私の体は赤井さんの腕の中にすっぽり包まれていた。
「美緒…」
私の首元にスリスリと顔を寄せる赤井さんは
なんだか私に甘えてくれているみたいで可愛かった。
『ふふっ、赤井さん…くすぐったいです。』
「お前の匂いを嗅いでると落ち着くんだ。
すごく癒されるし…安心する。」
嬉しいけど…
ここ玄関だからちょっと恥ずかしい。
『まだ眠いなら…添い寝でもしましょうか?』
「お前に手を出す自信しか無いがそれでもいいのか?」
『っ、それはだめです!まだ夕方ですから!』
「ホォー。夜だったらいいって事か?」
『〜〜〜っ!!もう!赤井さんの意地悪!!』
昴さんの顔をした赤井さんは
真っ赤になった私の顔を見てケラケラ笑っていて…
私は赤井さんを無視してリビングに向かった。