第30章 救済
「必ず戻る。」
『信じて…待ってますね。』
体を離し目を合わすと赤井さんの顔が近づいてきて…
私の唇と赤井さんの唇が合わさった。
一瞬だったけどそれはとても優しいキスで…
絶対に赤井さんは生きて帰ってきてくれる…
まるでそう誓ってくれたような安心できるものだった。
私の頬を一度だけ撫でた赤井さんは私から離れ
観覧車の頂上の方へと向かって行った。
彼の姿が見えなくなるまで見送った後
子供達が乗っているゴンドラを一つ一つ外から中を見て探した。
『この辺にいるはずなんだけど……』
なかなか見つからない子供達…
焦る気持ちを落ち着かせながら捜索していると
急に観覧車内部の電気が消えて、暗闇に包まれた。
『っ、なに…?』
まさか…これもあの組織の仕業なの…?
ポケットからスマホを取り出してライトを点灯させ
再び子供達を急いで探すことにした私。
そして一つのゴンドラをライトで照らすと
中に小さい人影が3つあるのを見つけた。
どこかに外から入る場所があるはずだと探していると
ゴンドラの天井に扉の様なものがあるのを見つけ、
近くの梯子を登り、ゴンドラの天井に飛び降りてから
扉を持ち上げて開けて…
子供達は、急に現れた私を見て驚いていた。
「えっ…先生!?なんでそんなところから…!?」
『まぁ、色々あってね。
それよりみんな、今停電して観覧車が止まっちゃってるんだけど…
助けが来るまでここで大人しく待っていようね。』
子供達は頷いてくれて、みんなと共に外を覗くと
水族館以外の場所が停電してしまったようだった。
大人しくみんなと待っていると
急にゴンドラが揺れて、激しい轟音が聞こえてきた。
『なんなのこの音…』
赤井さん…
安室さんと江戸川くんも……大丈夫かな…
3人の無事を祈っていると
さっきとは違うまた別の激しい音が聞こえてきて……
それは観覧車に向かって弾丸を放たれているような
恐怖で体が震えてしまうほどの嫌な音だった…