第30章 救済
「えっと…先生の言った事は本当だよ!!
観覧車の車軸とホイールの間に無数に仕掛けられてて
遠隔操作でいつ爆発するか分からないんだ!」
「…っ、分かった!FBIとすぐに行く!」
赤井さんと安室さんは互いに目を合わせて
私達の元に向かってきてくれるようだった。
「先生って…怒るとすごく怖いんだな…」
『私は悪い事をした人にしか怒ったりしないよ?』
苦笑いをしている江戸川くんと2人を待っていると
先に降りてきた赤井さんが私の元へ駆け寄ってきた。
「美緒…お前なぜここにいる。」
『子供達と一緒に来たんですけど
途中で江戸川くんを見つけてここに…』
そう説明すると、後ろから安室さんのため息が聞こえてきた。
「今はそんなこと話してる場合じゃないでしょう。
爆弾をなんとかする方が先です。」
「…分かっている。
俺は爆弾を見てくるから
美緒は2人と一緒にいろ…いいな?」
『分かりました…』
赤井さんは観覧車に仕掛けられた爆弾を見に行き
私達は起爆装置がある消火栓のところへ向かった。
そして消火栓の扉に仕掛けられたトラップを安室さんが外し終わったところで赤井さんも私達のいる場所に来た。
「赤井さん、どうだった?」
「…非常に上手く配置されている。
全て同時に爆発したら車軸が荷重に耐え切れず連鎖崩壊するだろう。」
「なるほど。悩んでる暇は無さそうですね…」
消火栓の扉を開けるとホースの奥に起爆装置があり
安室さんは爆弾の解体に取り掛かるようで…
赤井さんはカバンからライフルを取り出した後
そのカバンを安室さんに渡していた。
「そこに工具が入ってる。解体は任せたぞ。」
「赤井さんは…?」
「爆弾があったという事は
奴らは必ずこの観覧車で仕掛けてくる…
そしてここにある爆弾の被害に遭わず、
キュラソーの奪還を実行できる唯一のルートは…」
「っ、空から…!」
「そうだ。オレは元の場所に戻り時間を稼ぐ。」
『元の場所って…さっきいた頂上ですか…?』
あんなに高くて危ないところ…
落ちたら死んじゃうかもしれないのに…
不安な気持ちを隠せなくて
ギュッと自分の手を強く握っていると、赤井さんは私の元へ近づいてきた。