第30章 救済
東都水族館に到着し、蘭ちゃんと私と子供達は
送ってくれた毛利さんにお礼を言ってから車を降りた。
園子ちゃんが観覧車に乗れるように
手続きをしてくれているみたいだから…
『じゃあみんな、観覧車楽しんできてね!』
「えー!?先生は乗らないの!?」
『うん。観覧車からの景色の写真はみんなに任せるよ。
もうすぐ花火が始まる時間だし、
私は地上から花火と観覧車周りの噴水も入れた写真撮ってくるね。色んな景色の写真があった方が、あのお姉さんも喜ぶでしょ?』
そう説明するとみんなは納得してくれて
私は蘭ちゃん達より先に1人で入場ゲートから中へ入った。
そして、観覧車の近くで
上手く写真が撮れる場所を探していると…
観覧車乗り場に駆け寄って来る
眼鏡をかけた小さな探偵君の姿を見つけてしまった。
『!!江戸川くん!』
「っ、若山先生…!なんでここに!?」
江戸川くんにそう聞かれて簡単に説明すると
彼は急いでいるようで私の手を引っ張り走り出した。
「説明してる時間ないから先生も一緒に来て!!
あのお姉さんが観覧車に乗るのを阻止しなきゃ!」
『えっ…?あの人もここに来てるの…!?』
なんで…!?警察病院にいたはずなのに…!
意味がわからないまま江戸川くんに手を引かれ
観覧車に並んでいるお客さんの間をすり抜けて行く…
でも途中で手を離し、江戸川くんはぐんぐん先に進んで行ってしまった。
途中ではぐれた私は、観覧車乗り場に続く階段の下で
お客さんの列から外れて江戸川くんが降りてくるのを待っていた。
少しすると彼は階段から降りてきて
間に合わなかったと首を振り、私の元に戻ってくると
またまた私の手を引っ張り走り出した。
向かった先は……
『ちょっと江戸川くん…!ここ立ち入り禁止って…』
「大丈夫!こんなにお客さんがいっぱいの時に
観覧車内部を点検する従業員なんていないから!」
いや…私が言いたいのはそう言う事じゃなくて…
立ち入り禁止って書いてある場所に
勝手に入ったらダメって言いたかったんだけど…
しばらく2人で観覧車の内部を走り続けると
江戸川くんは何かに気づいたようで急に足を止めた。