第30章 救済
「東都水族館の…観覧車に…?」
「ああ…記憶を戻す為には定かではない方法だが…
やってくれるな?」
「わかりました。それと一つご報告が…」
「なんだ?手短に頼む。」
「若山 美緒という女性をご存知ですか?」
「!?」
なぜ風見が彼女の名を知っているんだ…?
驚いて何も言葉を発せずにいると、風見は僕に彼女の事を話し出した。
「警察病院でその女性に声をかけられたんです。
『あまり心配させないで下さい。』と伝えるよう頼まれたのですが…」
……。
全く…
なぜあの人は僕の心をいつもかき乱すんだ…。
美緒さんが警察病院にいた理由は知らないが…
僕のこと心配をしてくれた
美緒さんの気持ちが嬉しくてたまらなかった。
「わざわざ伝えてくれてありがとな、風見。
切るぞ。」
電話を切り
思い出すのは風見から聞いた美緒さんの伝言…
この任務が終わって生き残る事ができたら…
彼女に会いに行こう。
赤井の恋人なのは知っているし報われない事も分かってる。
だが…
もうこの気持ちは止められない。
海を挟んだ向かいにある東都水族館…
組織の奴らが来る前に先回りしなければ…
僕はその水族館に向かって走り出した。