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《赤井夢》Happiness{R18}

第29章 記憶


下の様子を見ると、どうやら2人とも無事だったようで
私は通路にペタッと座り込んだ。



『っ、よかった…っ…2人とも生きてた…』


「先生!座ってる場合じゃないよ!」
「早く2人のところに行こ!!」


吉田さんと円谷くんに腕を引っ張られて
近くにいた従業員に事情を説明し、従業員用の通路から階段を降りて地上に戻り
念の為怪我がないか確認するため、みんなで医務室に向かった。





ーーーー…



『小嶋くん…本当に大丈夫…?』

「おう!ねーちゃんが助けてくれたから
どこも怪我してないし痛くないぞ!!」


あんな高いところから落ちたにも関わらず
ニコニコしている小嶋くん……


怖かったはずなのにその切り替わりの早さに驚いた。



『それで…あなたの方は…?』




銀髪の女性の方に体を向けると
彼女も小嶋くんと同じように怪我はなかったみたい。



「私も大丈夫よ。だから…そんな顔しないで?」



優しく微笑んでくれた彼女に、私はゆっくり頭を下げた。



『小嶋くんを助けてくれてありがとうございました…!
あなたも無事で…本当に…っ、本当に良かったです…!』


側にいたのに私は何もできなかった…。

生徒を助けてあげられなかった自分が不甲斐なくて…
教師なのに情けなくて、涙がポロポロと溢れてきた。




『だめだね、私…
小嶋くんを危ない目に合わせて教師失格だ…』


「っ、先生泣かないで!!
みんな無事だったんだからさ!」

「そうですよ!それに先生のせいじゃありません!
元はといえば元太くんが手摺から身を乗り出したのがいけなかったんです。」

「そうだぞ先生!
俺が悪いんだから先生は泣く必要なんかねーよ!」


子供達に励ましの言葉をかけられていると
銀髪の女性は私の手を握ってきた。



「あなたは何も悪くないんだから泣かないで?
でも…私のことまでそんなに心配してくれて…
とても嬉しいわ。ありがとう、先生。」



綺麗なオッドアイの目の彼女に笑顔を向けられ
私は自分の涙を手で拭った。



『あはは、子供達に慰められるなんて
それこそ教師失格ですね。』



私が泣き止んだところで和やかな雰囲気に戻り、
子供達はまた観覧車に乗りに行こう!とノリノリになっていた。







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