第28章 真相 ✴︎
「そういえば美緒、
こいつの事はちゃんと覚えているか?」
赤井さんがそう言いながら指を指したのは
大柄で強面の男性……
『…覚えてますよ。
米花百貨店で一度会いましたもん…。』
「名前は言えるか?」
…ごめんなさい、言えません、覚えていません…!!
さっきから必死に頭の中で思い出そうとしているけど
全然思い出せなくて……
昴さんの顔をした赤井さんは
私の顔を見てニヤついているから
きっと私が彼の名前を忘れていることもお見通しだろう。
少しの間うーん、と1人で考えていると
フッと一つの名前が頭の中に降りてきた。
『あ!キャラメルさん!』
「くくっ…馬鹿、キャメルだ。」
『!?ご、ごめんなさい!!
私あの…本当に記憶力なくて…!』
必死にキャメルさんにぺこぺこ頭を下げて謝ってる中
ジョディさんと赤井さんは2人揃って肩を震わせ笑っていた。
「あははっ!美緒は相変わらず
人の名前を覚えるのが苦手なのね?」
『うぅ…返す言葉もございません…。』
またFBI捜査官に失礼なことしちゃったよ…
本当に自分が情けない…
「残念ね〜キャメル。
名前も覚えられていないようじゃ望みはなさそうよ?」
『へ…?』
「っ!?ちょ、ちょっとジョディさん!?
それは赤井さんには内緒って…!」
「…おい、それはどういう意味だ。」
キャメルさんが慌てている中で
ジョディさんはニヤニヤしながら話し出した。
「キャメルね、
美緒みたいな子がタイプなんですって。
可愛いし料理上手だし、今度会ったらデートに誘ってみるって意気込んでたの。
でもまぁ、美緒はシュウにゾッコンみたいだし早く諦めた方が…」
「ジョ、ジョディさんっ!!もう勘弁して下さい!」
そう言いながら顔を真っ赤にして恥ずかしがってるキャメルさん。
以前見た時も思ったけど
やはり見た目と違うそのギャップに笑みが溢れた。
…しかし、私の隣にいる赤井さんは
全くと言っていいほど笑っていない。