第28章 真相 ✴︎
「悪く思わんでくれよ。
先に仕掛けてきたのはアンタらの方だし
ああでもしないと、死人が出かねなかったからな。」
俺達に銃を向けている男達は
俺の言葉にわかりやすく眉間に皺を寄せながら睨んできた。
男達のうちの1人がスマホを持って電話をしており
俺はそいつに向かって先程発砲した銃を差し出した。
「あんたが持っているスマホと、この拳銃…
交換してくれないか?」
怪訝な表情をしたまま俺の提案に乗った男は
大人しく俺にスマホを差し出した。
思った通り通話中で、耳にスマホを当てると
声を荒げているバーボンの声が聞こえて来た。
「久しぶりだな…バーボン。
…いや、今は安室透くん、だったかな?」
「っ…」
俺の言葉に押し黙ったバーボン。
先程男に渡した拳銃が、
組織のメンバーだった楠田が自殺に使用した銃だと教え
入手ルートを調べると何か分かるかもしれないと伝えた。
「ここは日本。
そういう事は我々FBIよりも君らの方が畑だろ?」
「っ、まさかお前…俺の正体を…!」
「組織にいた時から疑ってはいたが…
あだ名がゼロだとあのボウヤに話したのは失敗だったな…
降谷零くん?」
ゼロ、とあだ名される名前は数少ないから調べやすかった。
恐らく奴は俺の身柄を組織に引き渡し、
大手柄をあげて組織の中心近くに食い込む算段だったようだが…
悪いが俺は…あいつの為にも死ぬ訳にはいかないんだ。
「いいかバーボン。
目先の事に囚われて、狩るべき相手を見誤らないで頂きたい。
君は敵に回したくない男の1人なんでね。それと……
彼の事は今でも悪かったと思っている。」
「っ…く…!!」
このまま話を終えても良かったが
まだ彼には…どうしても言っておきたい事があった。
「最後にもう一つ…」
「っ、まだ何かあるのか…!」
「美緒には手を出すな。あいつは俺の女だ。
もし美緒を傷つけでもしたら
俺は君を殺しに行く…肝に銘じておけ。」
そう伝えた後、持っていたスマホを男達に投げ
キャメルに車を出すように指示を出した。