第27章 緋色 ✴︎
寝室のベットから起き上がりリビングに向かうと
赤井さんからすぐに家を出ると言われ、
見送るために玄関へ向かった。
「夜には戻るからいい子で留守番してろ。」
『もう…子供じゃないんですけど。』
ムッとしながら言うと、赤井さんは私の後頭部に手を回し
優しくちゅっ、とキスを落とした。
「確かにそうだな。子供とこんなキスはしない。」
『っ…』
ニヤつきながらそう話す赤井さんがカッコ良すぎて…
自分の顔に熱が集まってくるのを感じた。
『ちゃんと…大人しく待ってます…。
気を付けて下さいね…?』
どこに行くかは知らないけど
赤井さんが素顔で外に出ようとするなんて…
きっとこれから危険なことが赤井さんの身に起こるかもしれない…
そう察してしまった。
「そんな顔をするな、…必ず戻ってくる。」
どうやら私の不安が顔に出てたみたい…。
不安になった所でどうしようもないので
私は不安を拭うように赤井さんに笑顔を向けた。
『いってらっしゃい、赤井さん。』
「ああ…いってくる。」
赤井さんは最後に私の頭を一撫でしてから外へ出て行った。
玄関の扉がバタン、と音を立てて閉まった後
私は再びリビングへ戻った。
そして
この後起こるであろう事を江戸川くんと優作さんに説明してもらい
夜まで適当に工藤邸で時間を潰した。
書斎で小説を読んだり、テレビを見たりしている間、
江戸川くんと優作さんは交代で2階から外の様子を確認していて
日が暮れて夜になった頃、
私が優作さんとマカデミー賞の中継をリビングのテレビで見ていると
江戸川くんが部屋に入ってきた。
「…先生、僕と一緒に来て。」
『うん…。優作さん…お気をつけて…』
昴さんに変装している優作さんは
私に笑いかけた後、白のマスクをつけていて
私と江戸川くんはリビングを出て2階の部屋の一室に入った。
そこは家の中に仕掛けてある監視カメラを確認できる
いくつかのモニターが置かれている部屋だった。