第27章 緋色 ✴︎
side 赤井
「すみません、お待たせしました。」
リビングに戻ると
工藤夫妻とボウヤの3人はお茶を飲みながら話をしていた。
「赤井さん、若山先生はどうしたの?」
「今日は朝早くにあいつを起こしてしまったからな。
まだ少し眠そうだったから寝室で休んでいる。」
…本当は体を重ねていたから、
そのせいで疲れて動けないだけなんだけどな。
まぁ、そんなことを話せるはずもなく…
先程立ったまま抱いてしまったことで
俺を睨んできた美緒の可愛い顔を思い出し、フッと笑みが溢れた。
「赤井さん?どうかしたの?」
「いや……何でもない。」
その後、俺達は4人で今後のそれぞれの動き方を相談し
話が終わった所で優作さんは沖矢昴に変装をするため
有希子さんと共にリビングを出て行った。
そして俺とボウヤは手分けして家中に監視カメラを取り付け
その確認をモニターのある一室で行った。
「カメラの位置はこれでオッケーだね。」
「そうだな。」
再びリビングに戻ると
そこには沖矢昴に変装した優作さんがいて
有希子さんはすでに家を出て空港に向かったようだった。
そして俺も外に出ようとしたところで
リビングの扉が開き、休んでいた美緒が部屋に入って来た。
「ゆっくり休めたようだな。」
『っ、はい…。ちょっと寝ましたから…』
さっきの俺との行為を思い出したのか
美緒は少し恥ずかしそうに頬を染めていた。
そんな表情もまた可愛くて抱き締めたくなったが
今はボウヤと優作さんがいるから我慢するしかなかった。
『あ、あれ?なんで昴さんが…!?
赤井さんが2人!?え、えっ…どういうことですか…?』
「先生、この人は優作さんの変装だよ。」
『えぇ!?そうなの!?』
驚いている美緒の頭にポンと手を乗せると
彼女は俺の方へ顔を向けた。
「美緒、後の説明は2人から聞いてくれ。
俺は今から家を出る。」
そう告げた俺を美緒は見送ってくれるようで
2人で一緒にリビングを出て玄関に向かった。