第27章 緋色 ✴︎
「お前をここに連れて来たのは、
そのベルモットと接触したからだ。
狙われないように、あくまで念の為にだがな。」
…だから朝っぱらから
1週間分の荷物を用意しろって言って私を迎えに来てくれたんだ。
『そういう事だったんですね…
でも1週間もお邪魔するなんて…ご迷惑では?』
「美緒ちゃんはそんなの気にしなくていいの!
好きなだけここにいてくれていいんだから。」
『ありがとうございます…
でもお邪魔させて頂くからには何でもやりますから
私のこと、たくさんこき使ってくださいね!』
そう話すと、工藤夫妻は揃って困ったように笑いながら
自分の家だと思って寛いでくれていいと言ってくれて
なんだかその言葉がすごく嬉しかった。
そして、私の荷物を置かせてもらう部屋を赤井さんに案内してもらうことになり、ソファーから立ち上がって2階へ向かった。
2人で2階にある客間の一室に入り
扉が閉まるのと同時に赤井さんは私を後ろから抱きしめてきた。
『赤井さん…?』
「美緒…悪いな。」
『?何がですか?』
「お前を巻き込んだことだ。本当に……悪かった。』
私のことを後ろからキツく抱き締めながら
私に謝罪する赤井さんの声は、何だかいつもより元気がなかった。
『私のことは気にしないで下さい。
ちゃんとこの家で大人しくしていますから。』
顔だけを後ろに向けてそう伝えると
赤井さんはフッと笑って私にキスをした。
「お前のそういうところ…本当に好きだ。」
『っ、嬉しいですけど…
面と向かって言われると恥ずかしいです…』
目を逸らして下を向くと体をくるっと反転させられて
今度は正面から抱き締められた。
「恐らくバーボンが…
安室くんが俺の死の偽装に気づいて、今日この屋敷に来るだろう。」
…やっぱりあの人相当頭良いんだね。
澁谷先生を襲った犯人も暴いてたみたいだし。
「ボウヤから聞いたが、昨日も安室くんに会ったらしいな。」
『…っ…は、い…。』
「2人で何を話していたんだ?」
やっぱりその事も報告しちゃったんだ江戸川くん…!
でも言って欲しくなかったよー!!