第27章 緋色 ✴︎
病院を出て入口に向かうと
FBIの2人と江戸川くんが慌てた様子で話しているのが見えた。
なんか……邪魔しない方が良さそう…。
お取り込み中みたいだったから私は1人で先に病院を出た。
ジョディさんには先に帰る事を後でメールしておこう。
私の知らないところで
何か大変なことが起きてるのかもしれないけど…
とにかく、澁谷先生が無事で犯人も捕まって本当に良かった…。
ホッとしながら歩いていると
先ほど病院で見かけたジョディさんが前方の歩道に立っていた。
『あれ…?ジョディさん?何でここに?』
「っ…。」
いつの間に私を追い越してたんだろう…。
ジョディさんは声をかけた私を驚いた表情で見ていた。
『こんな所でどうしたんですか?』
「…何でもないわ。ちょっと夜風に当たってただけ。」
『そうでしたか。江戸川くん達はどこに?』
「…さっき、あっちの方で別れたからそこにいると思うわ。」
『え?どこですか…?』
ジョディさんが指を差した方向を見て江戸川くん達の姿を探したけど、どこにも見当たらなくて…
再びジョディさんの方へ目を向けると
先程までそばにいたはずのジョディさんの姿は
もうどこにもいなかった。
『え…?ジョディさん…?』
キョロキョロと周りを見渡しても彼女の姿は見つけられなかった。
『もう帰ったのかな…?』
急に消えてしまって少し不思議に思ったけど
それ以上深く考える事はせずに私は再びバス停まで向かって歩き出した。