第27章 緋色 ✴︎
『っ、だめー!!
半径1メートル以内は侵入禁止!!』
「…まだそれ続いていたんですか。」
『当たり前です!ずっとですからね!!』
掴まれた腕を離してもらい、少し距離をとったところで
会議室に向かって走ってくる足音が聞こえて来た。
「若山先生!まだここにいたの!?」
会議室に入って来たのは少し息を切らした江戸川くんで
私と一緒にいる安室さんを睨みながら中へ入ってきた。
「今からジョディ先生達と一緒に病院へ行くんだ!
先生も来て!澁谷さん…容態が悪化したらしくて…!」
『っ、え…!?』
悪化したと聞かされて驚いていると
江戸川くんは私の手を引っ張り走り出した。
「先生急いで!ジョディ先生が車で待ってるから!」
『あ…うん!分かった!』
会議室を出る時
私は安室さんの方を一度だけチラッと見てから
江戸川くんと共に走り出して学校を出た。
その時の安室さんの表情は
夕陽のせいかもしれないけど……
すごく寂しそうな…切ない顔で私を見ているように見えた。
その後、ジョディさんの同僚の男性が運転する車に乗り
私達は杯戸中央病院にやってきた。
急いで病室に駆けつけると、
澁谷先生は意識が戻っていて元気な姿が確認できた。
「あらジョディ。
若山先生も…わざわざ来て下さったんですか?」
『澁谷先生…?あれ?大丈夫、なんですか…?』
「はい!ご心配をおかけして申し訳ありません。」
容態が悪化したと聞いていたのに
元気そうな彼女を見て唖然としていると、
江戸川くんとジョディさんは、大柄の男性がいないことに気づき、すぐに病室を出て行ってしまった。
『何かあったのかな…?』
江戸川くんがかなり慌てていたので
ただ事ではないような気がしたけど。
私はそのまま病室に残って少しだけ澁谷先生と話し
看護師さんに面会終了の合図をもらったところで病室を出た。