第27章 緋色 ✴︎
『えーっと…
机と椅子の確認と、プロジェクターの動作確認も完了っと…』
会議室で一人きり、確認作業を終えたところで
ふぅ、とため息を吐きながら窓の方へと移動し
外を眺めるともう日が暮れそうな時刻で夕陽が少し眩しかった。
…澁谷先生を襲った犯人はもう捕まったのかな?
本当に…無事だといいな……。
そんな事を考えながら少しの間外を眺めていると
会議室の扉が開き誰かが中に入って来たようで…
目を向けるとそこには安室さんが立っていた。
『安室さん?どうしたんですか?』
「美緒さんがなかなか戻って来ないので
探しに来たんですよ。…お仕事はもう終わりましたか?」
そう言いながら私のそばへ歩んできた安室さん。
相変わらずニコニコしていて何を考えているか全然わからない…
『さっき終わりましたよ。
それより…犯人は捕まったんですか?』
「えぇ。澁谷先生を襲ったのは、美緒さんにも突っかかっていたあの男です。」
安室さんの話を簡単に聞くと、犯人は左利きの人だったそうで
容疑者の中で左利きだったのはあの男性だけだったとのこと。
『さすが探偵さんですね!
あとは澁谷先生の意識が戻ればいいんですけど…』
「実はさっきこの学校に
病院から電話がかかって来たそうですよ。
それで僕はあなたにそれを伝えに来たんです。」
『わざわざすみません。じゃあ私も病院に行きますね。』
安室さんの横を通り過ぎて扉に向かおうとしたところで
すれ違い様に腕を掴まれた。
「美緒さん…聞きたいことがあります。」
『へっ…?』
驚いて安室さんの方を向くと
真剣な眼差しで私を見つめていた。
「あなたは…僕の事をどう思っていますか?」
『はっ…?ど、どうって聞かれても…』
「僕は……あなたの事が気になります。」
…。
はい!?
気になるって……なんで!?
意味が分からなくて混乱していると
安室さんが私の方へと一歩足を進めた。