第26章 授業
「俺がどれだけ美緒のことを好きか
まだ分かっていないのか?」
『っ、え…!?いや、分かってる…つもり、です。』
「なんなら今すぐお前の体に教え込んでやってもいいが?」
そう言いながら体を密着させて来た赤井さん。
…いやいや!ここリビング!!
それにいつ家主が帰ってくるか分からないのにそんなことできない!!
『じゅ、十分分かってるので大丈夫です!!』
「そうか?ならいいが。」
体をフッと離してくれた赤井さん。
襲われなくてよかった…と心の中で安心したけど
安心できたのはこの一瞬だけだった。
「そういえば、数時間前に大きな地震があっただろ?
大丈夫だったか?」
地震……。
あ、そういえば家庭科室にいる時にあったっけ。
地震があった時のことを思い出すと
自然に思い出すのは安室さんに抱き締められたことで…
…っ、い、言えない!!あれは絶対言えない!!
『…大丈夫でしたよ?怪我も何もなかったです。』
「何だ今の間は。何かあったのか?」
『えっと…本当に…何もないですよ…?』
私の言葉に全然納得していなさそうな赤井さん…
彼の眉間に少し皺が寄ったのを見て、ビクッと体が震えてしまった。
「美緒…
お前の良いところは正直で素直で嘘をつかないところだ。
ちゃんと話してくれ。」
…そんな事言われたら黙っていられないじゃん!!
『……え、と…地震があった時は安室さんといました…』
「…それで?」
『その時…あの…家庭科室にいたんですけど揺れが凄くて…
安室さんに抱き締められ…て……』
恐る恐る言葉を紡ぎながら赤井さんの顔を見ると
眉間の皺が話し始めた時よりかなり寄っていた。
「あの男……殺すか。」
『!?』
真顔でそんなことを言う赤井さんは凄く怖くて
私は必死に彼を宥めた。