第26章 授業
その後
ケーキを食べ終えた私と子供達はポアロを出て帰る事になり、安室さんが私を家まで送るって言い出して…
「若山先生は僕が送って行くよ!
先生に宿題の事でちょっと聞きたい事があったからさ!」
…と、江戸川くんに言われたので安室さんには丁重にお断りした。
2人で私のアパートに向かって歩いていると
江戸川くんはため息をつきながら話し出した。
「ったく…あの男が組織の一員だってことは
先生も赤井さんから聞いてるんでしょ?
もっと気をつけてもらわないと困るよ。」
『うぅ…ごめん…。
なんかあの人、そんなに悪い人には思えなくてつい…』
「まぁ、何もなかったからいいけどさ。
それより、赤井さんには連絡したの?」
『うん、ポアロに行く前に連絡したよ!
でも電話は出なくてメール送っておいた。』
…あ、でもその後はずっと鞄にスマホ入れっぱなしだったな。
何か返事が来ているか確認しようと思って
スマホの画面を見たんだけど…
『え……ちゃ、着信30件…!?』
しかも全部赤井さんから!?なんで!?
歩きながら掛け直そうか考えていると
隣を歩いていた江戸川くんが「あ…」と前方を指差していた。
私も前に目を向けると
昴さんがいつも乗っている赤いスバル車が停まっていた。
…そして車の中から
昴さんに扮した赤井さんが降りて来たんだけど……
なんだかいつもの穏やかな感じとは違い
少し怖いオーラが漂っていた。
「じゃ、じゃあ先生、僕はこの辺で帰るね!
また学校で…!」
『え!?待ってよ!江戸川くん!!』
あんなに怖いオーラ出してる赤井さんと2人にしないで!
心の中でそう訴えている間に
江戸川くんは元来た道を走り去ってしまい…
それを呆然と見ていると、赤井さんは私のすぐそばまで近づいて来ていた。