第26章 授業
『良かったらお二人もどうぞ?
ちょうど2切れ余ってますから。』
「え!?いいんですか!?」
『もちろんです。
講師をして下さったんですから、ぜひ。』
「では、お言葉に甘えて…頂きます。」
私が差し出したお皿を受け取った2人は
ピザを一口口に含むと、目を見開いて驚いていた。
「美味しい…!本当に美味しいです!」
榎本さんは何度も美味しいと言いながら
夢中でパクパクと食べてくれた。
『ふふっ、ありがとうございます。
お口にあったみたいで良かったです。』
「これは…市販のトマトソースじゃないですよね?」
『!?さすが、喫茶店の店員さんですね。
その通りです。これは私が作ったトマトソースですよ。』
「えぇっ!?作った!?」
私の言葉に驚いている榎本さん。
市販のものでは無いとすぐに気づいた安室さんは
きっとかなり料理ができる人なんだろうな…。
「若山先生はすごーく料理が上手なんだよ!」
「この前も美味しいケーキ作ってくれたんだ〜!」
「普段はちょっとドジなところもあるんだけどね?」
「うんうん!この前何も無いところで転んでたもん。」
『!!ちょっとみんな!
そんなことまで言わなくていいから!!』
子供達の言葉にクスクス笑っている榎本さんと安室さん…
恥ずかしくてたまらないけど
和やかな雰囲気のままパン教室はピザを食べ終わったところで終了した。