第26章 授業
『よかったらその生地頂けませんか?』
「え…?これをですか?」
『はい。それはパンとしては使えないので
別の物を作ってみます。』
首を傾げている2人から過発酵したパン生地を受け取り
お礼を言ってから近くの調理台へと移動した。
生地を少しこねてから形を整え、
冷蔵庫にしまっていた調味料や食材を取り出し
講師の2人が持って来てくれた具材も少し分けてもらった。
『後はトマトソースを塗って、具材とチーズを乗せて…』
「まさかこれって…ピザですか!?」
『榎本さん正解です。
パン生地の一次発酵って難しいですから
もし失敗した生地があった時のために
自宅から色々材料を持って来てたんです。』
使い道が無かったら持って帰ればいいだけだからね。
「若山先生っ!僕達もピザ作りたーい!」
『じゃあ後はみんなに作ってもらおうかな。
このソースを塗った後に、好きな具材乗せてね。』
「「「はーいっ!!!」」」
子供達が楽しそうに作っているのを見守り、
完成したところでみんなが作ったパンと一緒に
ピザを乗せた鉄板もオーブンへ投入した。
そしてみんなが作ったパンを机の上に並べ終わった後
出来立てのピザをカットしてみんなで食べることになった。
「若山先生!このピザすっごく美味しいよっ!」
「失敗してたパン生地なのにすごーい!」
『失敗したからってすぐに捨てたりせずに
別の使い道を考えればこんな風に別の美味しい物に変化させることもできるんだよ。
食べ物ってとても大切だから
みんなもその事をよく覚えておいてね。』
「「「はーいっ!!」」」
みんなが美味しそうに食べている中、
講師をしてくれた榎本さんと安室さんにも取り分けたピザを持って行った。